眠い目をこすりながら、オバマ新大統領の就任式典をBS放送にて最初から最後まで視聴しました。歴史に残る瞬間を日本にいながらハイビジョンで見られることの幸せを感じながら。
就任式典の感想を率直に述べると、今までの大統領選挙キャンペーンの時のような聴衆を盛り上げる演説ではなかったため、200万人にも上る参加者の溜息が聞こえてきそうな雰囲気がありました。
もっともその演説の内容は吟味に吟味を重ねた後が随所に見られ、後世に残る偉大なものであったと思います。
私がオバマ大統領にもっとも期待するのは以下の点です。
1.テロとの軍事対決路線からの訣別。
ブッシュ時代の全く間違った路線を180度転換し、対話路線に戻すこと。貧困が背景にあるテロに軍事力で対抗しても、憎しみの連鎖を再生産するだけにすぎず、決してテロがなくなることはない。テロとの戦いの最前線をイラクからアフガニスタンに変更するというオバマ大統領の路線は、それが軍事力に頼るものであるとすると、ブッシュの二の舞になる可能性が高く、賛同できない。
2.一国行動主義から国際協調路線への転換。
ブッシュ前大統領の時代は自国の利益を優先するあまり、地球規模の利益を考えての行動にならないことが多かった。後ろ向きな京都議定書への対応やミサイル防衛システムの旧東欧配備による米ロ緊張、イスラエル・パレスチナ問題(ガザ侵略)など、重要な問題で米国は責任を果たしていなかった。オバマ大統領が対話路線重視であるとの方針が漏れ聞こえてくるが、その流れをいかに現実のものにするのか、注視したい。
3.未曽有の経済危機からの回復。
Green New Deal 政策にて、400万人の雇用を創出するとの公約を掲げた。とにかく米国内の生産と消費が回復しないことには世界経済は復活しない。地球温暖化防止と経済成長を同時に成し遂げないといけない立場に置かれているだけに、大胆な財政出動を願う。
4.核廃絶。
一日も早い核兵器のない世界実現のため、尽力してほしい。恐怖の均衡のもとにしか世界平和が保てないというドグマはすでに過去の遺物となって久しい。そこに浪費している財政的余裕はないはず。兵器は生産手段ではないため、そこへの投資は世界経済へは全く貢献しない、そういう経済的な面からも一日も早い核のない日の実現を願う。
ああ、まだまだ沢山実現してほしい課題は山積みだ。
それにしてもこういうことを自分の国の指導者に付託することのできない国に住んでいる自分っていったい何なんだろう。