山村社長のブログ 「
PC時代からインターネット時代へ マイクロソフト 古川亨先達 引退 」 にトラバさせていただきます。
このニュースは私にとっても非常に感慨深いものがあります。古川さんとは15年くらい前に少しお仕事をさせていただいたことがあり、単に時代の先端を走っている方を、雑誌やテレビで拝見するというだけでなく、ある時代を身近に共有し、ある部分では一緒に時代の流れを作り、時には時代の流れに流された「同時代人」という意識を持っているからです。
私が最初にコンピュータ(電子計算機)なるものに触ったのは、高校の数学クラブでの実習においてでした。当時通っていた高校に、イタリアオリベッティ社製の電子計算機が鎮座しており、たしか逆ポーランド法か何かで計算式を入力した覚えたあります。大学に入ったとき、バイトで貯めたお金をはたいて Tandy Radio Shak社製 TRS-80 を買い、機械語と手アセンブル、そしてベーシック言語を覚え、自分流のスタートレックをプログラミングしたものです。
就職して最初に関わった仕事が、小型一体型ポータブルコンピュータのマイクロカセット。アナログ回路からフィルター、波形整形、制御回路、制御用ファームウェアなどを作りました。その後、CP/Mの時代が風のように過ぎ、MS-DOS が天下を取り、IBM PC/AT 互換機が我世の春を謳歌しました。その間、シリコンバレーでの設計事務所立ち上げ、apple, hp, compac, dell, gateway, ibm, go, intel, microsoft, などの怒涛の中にも身をさらしました。
今や成熟産業の感のあるコンピュータ業界ですが、その黎明期からずっと携わってこれたことは、単にめぐり合わせが良かったという面もありますが、何物にも替え難い貴重な体験でした。
時代の寵児とマスコミから持ち上げられた方々の去就は大きな話題になりますが、実際は現在もIT産業を支えている企業の中に、粛々と物作りに励んでいる方が大勢おられます。その方々は定年まで自分の培った技術を、少なくなった若手に伝えながら、新しい時代の礎となる覚悟で仕事をしています。私もその中の一部に過ぎませんが、我々の時代を代表した選手が舞台を去ることには一抹の寂しさと時代の大きな転換点を感じざるを得ません。
武蔵野